AISIN|ル・マン4連覇を支えた「電動の心臓」、TR010のフロントモーターを作る技術屋集団

AISINロゴ

WEC(FIA世界耐久選手権)に挑むTOYOTA RACINGのTR010 HYBRIDのボディに「AISIN」のロゴが入っています。変速機やブレーキ部品で知られるトヨタグループの一員ですが、レースの世界では「ハイブリッドの心臓部」をつくるパートナーとして、長い歴史を積み重ねてきました。

クルマの骨格と動きを支える、総合部品メーカー

AISINは愛知県刈谷市に本社を置く自動車部品の総合メーカーです。自動変速機(AT)の世界シェアはトップクラスで、ブレーキ制御システム、ドアフレーム、サンルーフ、シート部品など「クルマの走る・曲がる・止まる」に関わる幅広い製品を手がけています。1台のクルマにAISINの部品が何十点も使われていることも珍しくありません。

TR010のフロントモーターはAISIN製

TR010 HYBRIDの公式諸元には「フロントモーター/インバーター:アイシン/デンソー製」と明記されており、モーター本体を担っているのがAISINです。

フロントモーターは、ブレーキ時には回生発電でエネルギーを回収し、加速時にはバッテリーの電力をタイヤへの駆動力へと変換する、ハイブリッドシステムの要となるユニットです。その変換効率と応答の速さがクルマのパフォーマンスを直接左右するため、レースカー用モーターには市販車をはるかに上回る精度と耐久性が求められます。

ル・マンの栄光を支えてきた、eAxleの開発史

AISINがトヨタのモータースポーツに関わってきた歴史は、意外なほど長いものです。同社が開発する「eAxle」は、モーター・ギヤ・インバーターを一体化した電動駆動ユニット。限られたスペースに高出力を詰め込む、ハイブリッドレーシングカーの中核技術です。

その歩みは、2007年の十勝24時間レースで「スープラHV-R」に搭載され優勝に貢献したところから本格化しました。その後WEC用の開発が進み、2014年には「TS040」でシリーズチャンピオンを獲得。2018年には「TS050」で念願のル・マン24時間レース初制覇を果たし、2019年からのル・マン連覇にも貢献しました。市販車向けに培った量産技術を極限まで磨き上げ、それをまた市販車へ還元する──この往復運動こそが、AISINのレース参戦の原動力になっています。

詳しい開発の舞台裏は、アイシン公式ブログでも語られています。

24時間の過酷さが、市販車の品質を磨く

24時間を走り続けるレースカーには、熱・振動・荷重が繰り返しかかります。市販車以上に過酷なその環境に耐えうる部品を作り続けることが、そのまま私たちが普段乗るクルマの電動化技術やカーボンニュートラルへの取り組みにつながっています。サーキットでTOYOTAを応援するとき、その電動の心臓を支えるAISINにも、ぜひ目を向けてみてください。